人手不足が経営に与える影響

介護現場の人手不足は慢性的であり、多くの事業所で深刻な問題となっています。厚生労働省の調査によれば、介護事業所の6割以上が人手不足を実感しており、特に訪問介護では約8割もの事業所が「職員が大いに不足・不足している」と回答しています​

別の調査では、「慢性的に職員が不足している」と感じている介護施設が7割近くに上り、そのうち約9割が「採用が困難である」と答えています​

このような人手不足は現場の職員一人ひとりの負担を増大させ、サービス提供にも支障を来たします。結果として利用者の受け入れ制限やサービス質の低下を招き、事業の収益悪化や信用低下につながります。

さらに深刻なのは、人手不足が事業継続そのものを脅かしている点です。信用調査会社のデータでは、2024年上半期(1~6月)の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は81件に達し、前年同期比50%増と過去最多を更新しました​

これは介護保険制度開始(2000年)以来、最悪のペースであり、人手不足や物価高によるコスト増、他業界との人材獲得競争激化が背景にあります​

特に人員確保が難しい小規模事業者ほど経営が立ち行かなくなる傾向が強く、人手不足による採用難や離職増加が倒産増加に直結している状況です​

実際、介護職員の人手不足が深刻化した2019年には同上半期の倒産件数が55件に増加し​

コロナ禍で利用者減に見舞われた2020年同期には58件と過去最多を記録しました​

2023年通年でも介護事業者の倒産は122件に上り過去2番目の多さで、特に人手不足が著しい訪問介護事業者の倒産が過去最多を更新しています​

このように、十分な人員を確保できないことが事業継続を困難にし、「人手不足倒産」が現実のものとなっています​

人手不足による過重労働→離職→補充できずさらに不足…という悪循環に陥れば、最終的に事業閉鎖に追い込まれる恐れが高まります​

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