雇用保険法改正による介護業界への影響と人手不足対策

影響分析

介護業界の離職率の推移と今後の見通し

介護職員の離職率は、平成19年度(2007年)の21.6%をピークに徐々に低下し、令和4年度(2022年)には14.4%、令和5年度(2023年)には13.1%とデータ確認開始以降の最低水準を記録しました​.

この13.1%という値は全産業平均の15.0%(2022年)を下回り、かつて「離職率が高い」と言われた介護業界の状況は大きく改善しています​

処遇改善加算の拡充や各事業所での定着策の成果により離職率は低下傾向にありますが、一方で先行きは楽観できません​

他産業で賃上げが進み労働移動が促進される中、2025年4月の雇用保険法改正(自己都合退職時の失業給付の給付制限期間短縮)により退職を思い留まらせていたハードルが下がることで離職の増加が懸念されています​

実際、自己都合退職者の給付制限期間は従来3ヶ月でしたが2020年に2ヶ月へ短縮され、さらに令和7年4月以降は1ヶ月に短縮(自主的な教育訓練を行った場合は給付制限解除)されるため、「辞めてもすぐ失業手当をもらえる」状況になります​

この改正によって「とりあえず我慢して働き続ける」理由が薄れ、潜在的な離職希望者が実際に離職に踏み切るケースが増える可能性があります。つまり、近年は低下傾向にあった介護職員の離職率も、労働環境の改善が追いつかなければ再び上昇に転じるリスクがあります。

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