はじめに
あの人がいないと現場が回らない。
でも、あの人のせいで調理員が次々と辞めていく……」
こうした「属人的なスキル」と「パワハラ体質」の板挟みに悩む現場は少なくありません。
今すぐ辞めさせるわけにはいかないけれど、放置もできない。
そんな時に有効な、「現職の調理員を特定させず、かつ本人に釘を刺す」ための具体的な面談シナリオをご紹介します。
面談の鉄則:3つのポイント
- 「辞めた人」を理由にする: 現在の不満ではなく、過去の退職者の声を根拠に据える。
- 「数字」で語る: 感情論ではなく「離職率」という経営指標で切り込む。
- 「犯人捜し」を封じる: 犯人捜しが「自分の首を絞める」ことを論理的に伝える。
管理栄養士への事実確認面談
シーン:事務所の会議室にて。管理者と管理栄養士の1対1。
1. 冒頭:まずは能力を認め、懐に潜り込む
「〇〇さん、いつも献立作成や発注業務、正確にこなしてくれて助かっています。
あなたのスキルがあるからこそ、この厨房のクオリティが保たれているのは十分に理解しています。」
2. 本題:根拠を「過去のデータ」にすり替える
「実は今日お呼びしたのは、現場の『定着率』について相談したかったからです。
本部の方で、先日辞めた数名の退職理由を改めて精査したところ、共通して『〇〇さんの指導が厳しすぎて、委縮してしまった』という趣旨の回答がありました。」
ポイント:「今いる人」ではなく、「辞めた人」の声だと強調することで、現職の調理員への報復を防ぎます。
3. 警告:管理職としての「数字」の責任を問う
「〇〇さんの仕事の質は高い。
しかし、どれだけ良い献立を作っても、それを作る調理員がいなくなれば、事業所としては『大きな損失』です。
採用コストや欠員による現場の混乱を考えると、今のあなたの指導スタイルは、会社に損害を与えていると言わざるを得ない状況です。
これは管理職(リーダー)としての評価に直結します。」
4. 釘刺し:「犯人捜し」の無意味さを説く
「おそらくあなたは『誰がそんなことを言ったのか』と気になるかもしれません。
ですが、これは複数の退職者の声をまとめた客観的なデータです。
今、現場で犯人捜しをしたり、特定の誰かを問い詰めたりするようなことがあれば、それは『パワハラの証拠』を上塗りする行為になります。
そうなれば、私もあなたを守りきれなくなります。わかってくれますね?」
5. 結び:変化を促す(出口戦略への布石)
「あなたの能力をこれからも発揮してもらうために、まずは言葉選びや指導法を見直してほしい。
来月から、調理員とのコミュニケーションに変化があるか、私も注視していきます。
期待していますよ。
なぜこのシナリオなのか?
この面談の目的は、本人を改心させることだけではありません。
- 「会社は把握している」というプレッシャー: 好き勝手できない空気を作ります。
- 「注意指導」の記録: 将来的に退職勧奨や処分を行う際、「会社は改善の機会を与えた」という法的有効性を確保します。
- 現職の保護: ネタ元を「過去」に飛ばすことで、今のメンバーの安全を確保し、さらなる離職を食い止めます。
人手不足の今、一足飛びに解決するのは難しいかもしれません。しかし、こうした「記録を残しながらの外堀埋め」こそが、最終的に会社と従業員を守る最短ルートになります。
まとめ
「仕事ができるから」という理由でハラスメントを許容し続けると、最終的に残るのは加害者一人だけ、という最悪の結果を招きます。
まずは「現職を特定させない面談」から、健全な職場環境への一歩を踏み出しましょう。
最後まで見ていただき、ありがとうございます。
ハラスメントの問題は、一歩対応を間違うと、余計に関係性が悪くなることもあります。
読んでくださったあなたも、同じ失敗をしないように、「そのやり方をした場合、相手はどのように感じるのか、受け取れるのか問いかけてみてください。
