こんばんは。
現場で問題が起きたとき、
「再発防止のために報告書を出そう」って、すごく大事な流れですよね。
…なのに、そこで人間関係がギクッとすると、
“学びのための報告書” が “誰が正しいか選手権” に変わってしまう。
こうなると、次に同じことが起きたとき、
報告や意見が出にくくなって、会社としてはむしろ損をします。
今回の相談はこういう状況でした。
- 現場の問題に、上司と部下の2名で対応
- 会社は「同じ問題が起きないように」報告書提出を求めた
- 上司が「原因追究して報告書を出します」と会社全体LINEに投稿
- その後、部下も自分なりの意見を追記
- 上司は「自分に報告なく書いた」ことに怒り、声を荒げて注意
ここには大きく2つの課題が見えます。
- ルールが不明確(誰が・何を・どこに・どの順で書くのか)
- “なぜダメなのか”の言語化不足で、全体の納得感がない
今日はそれを、会社としてどう関わると建設的かを整理します。
ポイント①:上司の怒りは「部下の文章」より“欲求の刺激”で起きている
選択理論心理学では、人は5つの基本的欲求(生存/愛・所属/力/自由/楽しみ)を満たそうとします。
このケース、上司側はたとえば——
- 力(承認・責任者としての立場):「自分がまとめると宣言したのに、主導権が揺らいだ」
- 自由(裁量):「自分の段取りが崩れた」
- 愛・所属(つながり):「相談なく進められて、信頼が脅かされた感覚」
…こういう欲求が刺激されて、反射的に“外的コントロール”に寄った可能性が高いです。
つまり、上司の中では
「秩序を守るため」「筋を通すため」になっている。
ただし、会社全体から見ると
“なぜそれが筋なのか”が共有されていないから、納得感が生まれません。
ポイント②:会社全体LINEは「正しさ」よりも“設計”の問題
部下が意見を書いたこと自体は、再発防止という目的にはプラスにもなり得ます。
でも、上司が不快に感じたのも理解できる部分があって、
それは “場の目的”が曖昧だからです。
- 会社全体LINEは「決定事項の共有」なのか
- 「意見収集」もして良いのか
- 報告書作成の責任者は誰で、レビュー手順はどうするのか
ここが決まっていないと、
誰かが動けば動くほど摩擦が起きます。
ポイント③:「致命的な習慣」→「身につけたい習慣」へ、会社が舵を切る
選択理論には、人間関係を壊す“致命的な7つの習慣”と、近づける“身につけたい7つの習慣”があります。
今回の「声を荒げて注意」は、状況によっては
- 責める/批判する/脅すの方向に見えやすく、関係を遠ざけます。
会社としてやりたいのは、上司を“悪者”にすることではなく、
関係と成果が両立するコミュニケーションに切り替えること。
そのための現実的な関わり方は、次の3つです。
①「ルール」を作る(人を縛るためじゃなく、迷いを減らすため)
例:報告書系の案件は
- 全体LINE:事実(起きたこと)と次アクションだけ
- 意見・仮説:スレッド or 専用フォーム or ドキュメントに集約
- 取りまとめ責任者:上司(ただし意見は歓迎、反映判断は責任者)
- レビュー順:部下→上司→関係者(期限もセット)
これで「部下が書くのはダメ」ではなく、
“どこに書くと混乱が減るか”の話にできます。
②「目的」を言語化する(報告書は“原因追究”より“再現防止”)
会社が示すべきメッセージはこれです。
- 報告書は「犯人探し」ではない
- 目的は「次に同じことが起きない仕組み」
- 意見が出るほど、再発防止の精度は上がる
“正しさ”の戦いを降ろして、目的に戻す。
③WDEPでミニ対話を設計する(感情の渦を、行動計画に変える)
リアリティ・セラピーのWDEP(Wants/Doing/Evaluation/Planning)は、
対立を「じゃあどうする?」に戻すのに強い枠組みです。
会社(第三者)がファシリテートするなら、こんな流れ。
- W(望み):上司は何を守りたい? 部下は何を良くしたい?
- D(行動):実際にLINEで何をした? 何を避けた?
- E(評価):その行動は、目的(再発防止)に役立った?関係を近づけた?
- P(計画):次回は「どこに」「どの順で」「どう言う」?(具体化)
ここで上司に求めたい「正しさを手放す」は、
“相手をコントロールする正しさ”を手放して、
“目的に近づく選択”を取るという意味になります。
あなたの職場にも、ありませんか?
「それ、内容は良いのに、出し方が気に入らない」
「ルールが曖昧なのに、後から“常識だろ”と言われる」
そのとき、あなたの組織は
“人を正す”方向に力を使っていますか?
それとも、仕組みと関係を整える方向に力を使えていますか?
- 上司の怒りは、部下の文章そのものより 基本的欲求(力・自由・所属など)の刺激で起きやすい
- 問題の本体は「部下が書いたこと」ではなく、場の目的とルール設計が曖昧なこと
- 会社としては、上司を裁くより
- ルールを作る(迷いを減らす)
- 目的を言語化する(再発防止へ戻す)
- WDEPで対話を設計する(感情→行動計画へ)
- 「正しさを手放す」とは、外的コントロールを減らし、全体最適の選択に切り替えること
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
現場の問題って、実は“出来事”よりも、
その後の「話し方」「決め方」「共有の仕方」で、
組織の強さが決まることが多いです。
このケースが、誰かを黙らせる方向ではなく、
意見が出て、学びが残る方向に進むヒントになれば嬉しいです。



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