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  3. 最後の5分で、応募者の入社意欲は決まる

最後の5分で、応募者の入社意欲は決まる

2026 6/11
未分類
2026年6月19日

面接の最後を、事務連絡で終わらせている会社は採用で負ける。

「本日はありがとうございました」
「結果は後日ご連絡します」
「何か質問はありますか」
「では、お気をつけてお帰りください」

これだけで終わる面接が多い。

丁寧ではある。
しかし、弱い。

良い応募者ほど、複数の会社を見ている。
求人票も比較している。
面接官の印象も比較している。
会社説明のわかりやすさも比較している。
自分を必要としてくれているかどうかも比較している。

その中で、最後に何も残さない会社は忘れられる。

採用したい人材に対して、最後に「あなたと一緒に働きたい」と伝えない会社は、自分から内定辞退の可能性を高めている。

ファン化面接講座では、面接の最終段階に「ビジョン共有・口説き」が置かれている。合格させたい応募者に対して、応募者が語ったビジョンを再度言語化し、自社で実現できる根拠を添えて、熱く断定する形で伝えるステップである。

面接の最後は、ただ終わる時間ではない。
応募者の入社意欲を決める、最後の勝負所である。


目次

「結果は後日連絡します」だけでは足りない

多くの面接官は、最後を無難に終える。

「本日はありがとうございました。結果は後日ご連絡します」

間違いではない。
だが、採用したい応募者に対しては足りない。

応募者は面接後、頭の中で整理している。

この会社は自分をどう見てくれたのか。
自分の話は伝わったのか。
自分が大切にしていることを理解してくれたのか。
本当に入社後のイメージが持てるのか。
他社と比べて、どちらが自分に合っているのか。

そのとき、会社側から何も言葉が残っていなければ、応募者は迷う。

「悪くはなかった」
「雰囲気は普通だった」
「もう少し他社も見てみよう」

こうなる。

採用で怖いのは、応募者に嫌われることだけではない。
印象に残らないことも怖い。

中小企業は、知名度で大企業に勝てないことがある。
給与や福利厚生で、すべて勝てるわけでもない。

だからこそ、面接の最後で人の熱量を伝える必要がある。


勘違い1 口説くと応募者に媚びているように見える

これは違う。

口説くとは、応募者に媚びることではない。
採用したい理由を、相手に伝わる言葉で示すことである。

中小企業の面接官ほど、ここで照れる。

「そこまで言わなくてもいいだろう」
「内定を出せば伝わるだろう」
「こちらが下手に出ているようで嫌だ」
「採用する側が口説くなんておかしい」

この感覚が古い。

今は、会社が一方的に選ぶ時代ではない。
応募者も会社を選んでいる。

良い人材ほど、他社からも声がかかる。
面接中の対応で、入社する会社を決めることもある。

そこで会社側が何も伝えなければ、選ばれない。

口説くとは、こういうことだ。

「今日お話を聞いて、〇〇さんが大切にしていることがよく伝わりました」
「特に、〇〇という考え方は、うちの仕事でとても大事にしている部分と重なります」
「うちなら、〇〇さんが目指している働き方に近づける環境があります」
「ぜひ一緒に、その目標に向かって働きたいです」

これは媚びではない。
採用側の意思表示である。

応募者は、自分が評価されたかどうかだけでなく、自分の未来をこの会社がどう見てくれたかを見ている。


勘違い2 良い人材なら内定を出せば来てくれる

来ない。

良い人材ほど、選択肢がある。
他社の面接も受けている。
条件面の比較もしている。
家族にも相談している。
現職に残る選択肢も持っている。

内定を出した瞬間に採用が決まるわけではない。
応募者が承諾して、初めて採用である。

面接官が「この人は良い」と感じているなら、他社も同じように感じている可能性がある。
その応募者を、ただ待っていてはいけない。

面接の最後に、応募者の入社意欲を高める言葉を残す必要がある。

ファン化面接講座では、最後のビジョン共有・口説きのフェーズで、応募者のビジョンをもう一度言語化し、自社で実現できる理由を伝え、「ぜひ一緒にがんばりましょう」と言い切ることが重要とされている。

大事なのは、「良かったです」で終わらせないことだ。

何が良かったのか。
どこが自社と合うのか。
なぜ一緒に働きたいのか。
入社後にどんな可能性があるのか。

ここまで言葉にする。

採用したいなら、採用したいと伝える。
ここを曖昧にする会社は、最後の最後で負ける。


勘違い3 クロージングは営業っぽくて採用には合わない

採用は営業ではない。
しかし、相手に選ばれるための対話である。

自社の商品を売るのではない。
自社で働く未来を伝える。

ここを営業っぽいと嫌がる会社は、面接を「評価」だけで見ている。
だが、面接にはもう一つの役割がある。
応募者に、会社のファンになってもらうことである。

ファン化面接では、面接を「見抜く場」と「ファン化の場」の両方として捉える。どれだけ見極めても、応募者に「入社したい」と思ってもらえなければ採用にはつながらない。

クロージングは、無理に入社を迫る時間ではない。
応募者のビジョンと、自社が提供できる環境を結びつける時間である。

たとえば、応募者がこう話したとする。

「将来的には、お客様と長く関係を築ける営業になりたいです」

この応募者に対して、最後にこう伝える。

「今日のお話で、〇〇さんが一社一社のお客様と長く関わる営業を大切にしたいということが印象に残りました。うちの営業は、短期的に売って終わりではなく、既存のお客様から相談を受けながら長く関係をつくる仕事です。〇〇さんが目指している営業スタイルと、かなり近いと感じています。ぜひ一緒に、お客様から頼られる営業を目指していきましょう」

これは営業トークではない。
面接で聞いた内容をもとにした、誠実な接続である。


最後の5分で伝えるべきこと

最後の5分で伝えるべきことは、難しくない。

まず、応募者の話を受け止める。
「今日お話を伺って、〇〇さんの〇〇という考え方が印象に残りました」

次に、自社との接点を伝える。
「その考え方は、うちが大切にしている〇〇と重なります」

そして、自社で実現できる理由を伝える。
「なぜなら、うちでは〇〇という環境や仕事があるからです」

最後に、意思を言い切る。
「ぜひ一緒に、その目標に向かって働きたいです」

この流れでよい。

ファン化面接講座でも、定型シナリオとして、応募者のビジョン・目標を言語化し、「うちなら実現を目指せる環境があります。なぜなら具体理由があるからです。ぜひ一緒にがんばりましょう」と伝える構成が示されている。

重要なのは、応募者の名前と、応募者が語った言葉を入れることだ。

誰にでも使える言葉では弱い。
その応募者だから伝える言葉にする。

「〇〇さんが話してくれた、後輩を育てる仕事に挑戦したいという想い」
「〇〇さんが大切にしている、お客様に正直に向き合う姿勢」
「〇〇さんが言っていた、手に職をつけて長く働きたいという考え方」

このように、面接中に出た言葉を拾う。
応募者は、「自分の話をちゃんと聞いてくれていた」と感じる。

これが入社意欲につながる。


「言い切る」ことを怖がるな

面接官が最後に弱くなる場面がある。

「合うかもしれません」
「活躍できる可能性があると思います」
「前向きに検討させていただきます」
「ご縁があれば、ぜひ」

この言い方では、応募者に熱が伝わらない。

もちろん、法律判断や労働条件、内定可否について、確定していないことを断定してはいけない。
社内選考が残っているなら、その点は正確に伝える必要がある。

しかし、面接官として「一緒に働きたいと感じた」という意思は伝えられる。

「今日のお話を聞いて、私は〇〇さんと一緒に働きたいと感じました」
「社内で正式に確認は必要ですが、〇〇さんの考え方はうちに合うと感じています」
「ぜひ前向きに進めたいです」

このように、事実と意思を分けて言えばよい。

断定してよいことと、断定してはいけないことを分ける。

内定が確定していないのに、「採用です」と言うのは危険だ。
だが、「一緒に働きたいと感じた」と伝えることはできる。

採用したい人に対して、熱量を隠す必要はない。

中小企業ほど、ここで言い切る力が必要だ。


口説き文句は、応募者のビジョンとつながっていなければ逆効果

ただし、熱く言えばよいわけではない。

「あなたのような人を探していました」
「ぜひ来てください」
「うちなら成長できます」
「絶対に活躍できます」

こうした言葉は、応募者の話とつながっていなければ軽く聞こえる。

応募者は、見ている。

本当に自分の話を聞いたうえで言っているのか。
誰にでも同じことを言っているのではないか。
会社に都合よく入社してほしいだけではないか。

だから、クロージングは応募者のビジョンと必ず結びつける。

応募者が「手に職をつけたい」と話したなら、技術習得の環境につなげる。
応募者が「人を支える仕事がしたい」と話したなら、顧客やチームへの貢献につなげる。
応募者が「管理職を目指したい」と話したなら、将来の役割や育成機会につなげる。
応募者が「安定して長く働きたい」と話したなら、仕事の進め方や定着支援につなげる。

口説くとは、会社側の言いたいことを押しつけることではない。
応募者が語った未来に、自社がどう関われるかを示すことだ。


良い応募者だけにクロージングする

ここも大事だ。

ファン化面接講座では、ビジョン共有・口説きは「面接を合格させよう」と思った応募者のみ行うフェーズとされている。

つまり、誰にでも強く口説くわけではない。

明らかに合わない応募者に対して、期待を持たせるような言葉を言うのは不誠実である。
採用する可能性が低いのに、「ぜひ来てください」と言うのは危険だ。
応募者にも失礼である。

クロージングは、採用したい相手に対して行う。

一方で、不採用の可能性がある応募者にも、丁寧な終わり方は必要だ。

「本日はお時間をいただき、ありがとうございました。今日お話しいただいた内容を社内で確認し、〇日までにご連絡します」

これは全員に必要である。

採用したい応募者には、さらに一歩踏み込む。

「今日のお話を聞いて、〇〇さんの考え方はうちの大切にしている部分と重なると感じました。ぜひ前向きに進めたいです」

この違いを整理しておく必要がある。

誰にでも同じ熱量で口説く会社は、言葉が軽くなる。
採用したい人に、具体的に、誠実に伝えるから響く。


最後に感謝を伝えられない会社は弱い

採用したいかどうかに関係なく、最後に感謝は必要である。

応募者は時間を使って面接に来ている。
履歴書を準備し、会社を調べ、緊張しながら話している。
場合によっては、有給休暇を取って来ている。
家庭や現職の予定を調整して来ている。

それに対して、会社側が「来て当然」という態度を取ってはいけない。

「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」
「率直にお話しいただき、ありがとうございました」
「〇〇さんのお考えを聞けて、私たちも理解が深まりました」

この一言があるかないかで、印象は変わる。

ファン化面接講座でも、段階導入で最低限おさえる3点の一つとして、面接の最後にしっかり「面接に来てくれたこと」に感謝することが挙げられている。

感謝は形式ではない。
応募者への敬意である。

採用活動で応募者への敬意を失った会社は、長期的に選ばれなくなる。


最後の5分は、面接官の本気度が出る

面接の最後には、面接官の本気度が出る。

本当に採用したいと思っているのか。
応募者の話を聞いていたのか。
会社の未来と応募者の未来をつなげられるのか。
曖昧なまま終わらせていないか。
感謝を伝えられるか。

ここで差がつく。

私自身、委任したつもりが放任になり、部下からの信頼を失ったことがある。
こちらは「任せている」と思っている。
しかし相手から見れば、「見てくれていない」「最後に支えてくれない」と感じていた。

面接も同じだ。

面接中にいろいろ聞いておきながら、最後に何も返さない。
応募者のビジョンを聞いておきながら、そのビジョンに会社がどう関われるかを伝えない。
「結果は後日」で終わる。

これは、応募者から見れば放置に近い。

話を聞いたなら、最後に返す。
応募者の言葉を受け止めたなら、会社としての意思を伝える。

これができる会社は、応募者から信頼される。


クロージングの具体例

職種別に、最後の伝え方を考えてみる。

製造業で、応募者が「技術を身につけて長く働きたい」と話した場合。

「今日お話を聞いて、〇〇さんが『手に職をつけて長く働きたい』と考えていることが印象に残りました。うちは派手な会社ではありませんが、現場で一つずつ技術を身につけ、長く力を発揮している社員が多い会社です。最初は覚えることも多いですが、先輩が横について教える体制があります。〇〇さんが目指している働き方に近づける環境はあります。ぜひ一緒に、技術を磨いていきましょう」

介護・医療で、応募者が「人の役に立つ実感を大切にしたい」と話した場合。

「〇〇さんが話してくれた、『目の前の人の役に立てる仕事をしたい』という想いは、うちが大切にしている考え方と重なります。現場は楽なことばかりではありませんが、利用者さんやご家族から感謝の言葉をいただける場面があります。〇〇さんのように、人との関わりを大切にしたい方には、力を発揮していただける仕事です。ぜひ一緒に、地域の方を支えていきましょう」

IT・テックで、応募者が「成長できる環境で挑戦したい」と話した場合。

「今日のお話で、〇〇さんが新しい技術を学びながら成長したいという考えを持っていることがよく伝わりました。うちでは、最初から全部を任せるのではなく、既存プロジェクトで業務理解を深めながら、段階的に新しい領域にも関わってもらいます。学び続ける姿勢がある方には、挑戦できる環境があります。ぜひ一緒に、次のステップをつくっていきましょう」

小売・サービスで、応募者が「お客様と直接関わる仕事がしたい」と話した場合。

「〇〇さんが話してくれた、お客様の反応を直接感じられる仕事がしたいという想いは、うちの仕事にとても近いです。日々の接客の中で大変な場面もありますが、自分の対応でお客様が笑顔になる瞬間があります。そこにやりがいを感じられる方には、合う職場です。ぜひ一緒に、お客様から選ばれるお店をつくっていきましょう」

どれも特別な言葉ではない。
応募者の言葉を拾い、自社の現実とつなげ、最後に意思を伝えているだけである。

これができるかどうかで、面接の印象は変わる。


クロージング前に確認しておくこと

最後に口説く前に、確認しておくべきことがある。

応募者の希望条件と大きなズレがないか。
勤務時間、勤務地、給与、休日、仕事内容について、重大な誤解がないか。
会社側が提供できることと、応募者が求めることが大きく離れていないか。
社内選考の流れを正確に伝えられるか。

ここを曖昧にしたまま熱く口説くと、後でトラブルになる。

特に労働条件に関わる内容は慎重に扱う必要がある。
給与、雇用形態、勤務時間、休日、残業、配属先などは、求人票や労働条件通知と整合する形で伝えなければならない。個別事情によって確認すべき事項が変わるため、実際の運用では最新の法令や公的資料、専門家への確認が必要である。

熱量は大事だ。
しかし、事実と違うことを言ってはいけない。

ファン化面接は、盛る面接ではない。
正直に伝えたうえで、合う人を本気で口説く面接である。


面接官全員がクロージングできる状態をつくる

クロージングは、社長だけができればよいわけではない。

一次面接の人事担当者。
現場の管理職。
最終面接の社長。
それぞれが、自分の立場で応募者に伝える言葉を持つ必要がある。

人事担当者なら、会社全体の考え方や採用への想いを伝える。
現場管理職なら、入社後の仕事や育成、チームの雰囲気を伝える。
社長なら、会社の未来や求める仲間像を伝える。

面接官ごとに言葉がバラバラだと、応募者は不安になる。
逆に、それぞれの立場から一貫したメッセージが出ると、応募者の信頼は高まる。

そのためには、クロージングトークを個人任せにしないことだ。

応募者のビジョンを拾う。
自社との接点を伝える。
実現できる理由を示す。
最後に一緒に働きたいと伝える。

この型を面接官全員で共有する。

ファン化面接講座では、実践ツールとしてクロージングトーク・テンプレートも用意されている。応募者のビジョンと紐づけて使い、断定する形で言い切ることがポイントとして整理されている。

面接官の属人的な熱意に頼るのではなく、会社として最後の伝え方を整える。
これが採用力になる。


最後に残るのは、言葉の温度である

応募者は、面接で話された内容をすべて覚えているわけではない。

細かい制度。
会社の沿革。
売上規模。
事業説明。
面接官の質問。

これらの全部を正確に記憶しているわけではない。

しかし、最後にどう扱われたかは残る。

自分の話を聞いてくれた。
自分の未来を言葉にしてくれた。
会社で実現できる可能性を示してくれた。
一緒に働きたいと伝えてくれた。
最後まで丁寧だった。

この印象が、応募者の意思決定に影響する。

面接の最後は、会社の温度が出る。
人を採ることに本気かどうかが出る。

採用したい人材に対して、熱を隠すな。
応募者のビジョンを聞いたなら、最後に会社の言葉で返せ。
それができない会社は、最後の5分で他社に負ける。


まとめ

面接の最後を「結果は後日連絡します」だけで終わらせてはいけない。

採用したい応募者には、最後にきちんと口説く必要がある。
応募者が語ったビジョンをもう一度言葉にする。
自社で実現できる理由を伝える。
「ぜひ一緒に働きたい」と意思を示す。

これは媚びではない。
採用側の責任ある意思表示である。

良い人材ほど、他社にも見られている。
内定を出せば来てくれる時代ではない。

最後の5分を事務連絡で終える会社は、応募者の記憶に残らない。
最後の5分で本気を伝える会社が、選ばれる。

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